池田嘉人
 



2004.10.25-10.30

 





「不可能な物語」ということをテーマに作品を制作しています。「不可能な物語り」とは根元的に把捉不可能な他者の記憶と、私の記憶とをオーヴアーラップすることによって紡がれる時間、記憶のことです。私達のコミュニケーション世界を支えているものが個人の記憶であるのならば、コミュニケーションの可能性とは、様々な個人の記憶をあえて同じフィールドに共存させることによって見い出されるのではないでしょうか。
かつてのシュルレアリストたちは古の様々な神話を復建し、再発見しました。それは、その神話作用を個人の記憶と忘却にリンクさせることによって、単一的な主体を普遍化する試みであったのだと思います。「不可能な物語」とは、複数の記憶を重層化することによって新たな文脈をつくるという意味で、そうした神話作用に似ていると言えます。
個人の記憶という「小さな記憶」を始点に、コミュニケーションの不可能性を不透明にする。映像体験は表象不可能な記憶に近づき、複数の時間、イメージ=記憶はオーヴアーラップされることによって他者と共有できるフィクショナルな時間を生成する。あらかじめ不可能と分かっている煮もかかわらず、そこに可能性を託すこと。そうしたある種、矛盾を抱えた態度をとりながら、不可能性を前提とした時間=物語を生起させることが、大きな可能性に繋がると私は考えます。









 
 




1973  宮城県生まれ
1997 東京芸術大学美術学部絵画科油画卒業
2000 同大学大学院研究科絵画専攻油画修了
2004 同美術研究科博士後期課程油画修了