元木みゆき展
   「わ・る・つ」
    

    企画:飯沢耕太郎(写真評論家)+表参道画廊    
    会期:2005.6.6-11

 

 


「わ・る・つ」

 


「わ」と「る」と「つ」でできあがっている世界。 「わ」はノイズ。「る」が行きたい場所。「つ」が深み。でも「わ」の中には、「わ♯」「わ♭」というような変調がある。その3つのパートが結びつき、絡み合って「わ・る・つ」の世界が立ち上がっていく。 元木みゆきから聞いた展示のアイディアは、おおよそそんなものだった。よくわからない。だがわからないなりに、彼女の頭の中に、何か凄い「音楽」が生まれようとしているのが想像できる。展示が楽しみだ。あらかじめ形が見えているよりも、何が出てくるかわからない、そんな状態の方が、絶対に面白いものが出てきそうだ!                        2005.4 企画展によせて   飯沢耕太郎(写真評論家)
略歴

1981 千葉県生まれ
2001 東京造形大学デザイン学部デザイン学科視覚伝達専攻
2003 第21回ひとつぼ展(写真)入選
2003 第22回ひとつぼ展(写真)グランプリ受賞
2005 東京造形大学デザイン学部デザイン学科視覚伝達専攻卒業 展歴
2003 グループ展『造形・D-Style』
2004 Web Collaboration『現場』
2004 グループ展『phos 7つの変調』
2005グループ展『New Digital Age 2』
2005 第22回ひとつぼ展(写真)グランプリ受賞展『学籍番号011145』
2005 表参道画廊 飯沢耕太郎(写真評論家)+表参道画廊 企画 東京写真月間呼応企画展


 デジタル世代の「空へ」                               先日「牛腸雄展」を見に行ったとき、彼の桑沢デザイン研究所時代の習作にびっくりさせられた。とにかく、「もの」が違うというか、そのレベルの高さが尋常ではない。単純に造形的な処理がうまいというだけでなく、そこに一人の作家としての世界観gきちんと表明されている。たとえばその中に「空を撮る」という課題があって、6×6のモノクロームの画面に空とシルエットになった建物の一部が写っているのだだが、そのピンと張りつめた緊張感と、空間の揺るぎない物質間が、のちの『SELFAND OTHERS』などにも共通する強度を備えているのだ。そういえば、彼の初期作品には『カメラ毎日』に発表した「空へ」というシリーズもある。おそらく牛腸にとって、「空」は写真家としてのクリエイティブな能力を鍛え上げていくための格好のテーマだったのではないだろうか。  元木みゆきの「空にダンス」のシリーズはどうだろうか。僕にはそれがデジタル世代の「空へ」に思えてならない。ここでも画面の大部分を占めているのは、何もないからっぽの「空」である。普通の写真の被写体と背景、あるいは図と地との関係が逆転しているのだ。ただし牛腸の「空へ」と元木の「空にダンス」では、印象がまったく違う。あのぎりぎりの緊張感、見る者の視線を跳ね返すような強度はそこにはない。どちらかといえば、のほほんと広がっている青空は気持ちを弛ませてくれるし、そこに写っている人間たちもふわふわと中と漂っているように見えてくるのだ。 おそらく元木にとっても、このシリーズは習作としての意味を持つのだろう。2004年にガーディアン・ガーデンの「写真ひとつぼ展」でグランプリを受賞した「学籍番号011145」にしても、まだ彼女の潜在能力が完全に開花した訳ではないように思える。ただ牛腸もそうなのだが、「初期作品」にはその後の写真家としての表現可能性が、ほぼすべて萌芽のような形であらわれているものだ。おそらく「空にダンス」も、10年後、20年後に彼女の作家としての軌道を辿る時には、また別の顔を見せるのではないだろうか。                   (写真評論家/飯沢耕太郎)
第22回ひとつぼ展(写真)グランプリ受賞展
『学籍番号011145』リーフレットより

 


 


会場風景