竹下都(インディペンデント・キューレータ)企画

 浜田涼 個展   

    
   2005.9.26-10.8

 

 


日常という事 初対面の印象に付いて考える。浜田涼との最初の出会いは、鮮明に残っている部分と、なんともはっきりしない部分が同居している。まず鮮明に、笑った目と つるつるのほっぺとハスキーな声が思い出される。だが、その他がどうもはっきりとしない。これと同じ事が、繰りかえし営まれる日常生活の中でも言える。 何時も見ている風景、何回も会っている人、しっかり記憶しているはずなのに、どうも全体像がぼやけてしまう。 初対面で「私はピンボケ写真の様な作品を作っています」と言った浜田涼。その作品は、確かにブレてボンヤリとして少し思わせぶりである。作者は無意識に 撮った風景のスナップ写真を、カラーコピーをし、パネルに貼り、アクリル絵の具を施して仕上げている。そこでは被写体のイメージは消え、画面に表出して きた色のレイヤーが、新しい言語となって観る者に語りかけてくる。また、回りの人達を撮った作品でも、半透明のフィルムにカラーコピーをし、さらにその 上に、半透明のフィルムを重ねて制作され、こちらも被写体のアイデンティティが覆い隠されている。2003年から作り始めた最近作では、薄い乳白色のア クリル版で写真を覆い隠して、さらに視覚的な曖昧さを強調したものとなっている。 作者は「写真を撮ることに出会い、絵画で表現するより楽になった。」と言う。それは、一度レンズを通して対象をとらえることで、対象との微妙なズレを作 品の中に取り込む事に対して、自由になって来ているのではないだろうか。そのズレは、日常という曖昧な情景に、作者自身の記憶を重ね、膨らませて、静か に「日常という事」とはと、私達に問いかけて来る。そして、彼女のとらえた曖昧な写真は、「記録」を超えて「記憶」となり、概念的な答えを求めて来る。 その時、鑑賞者はその曖昧な視覚体験により、自身の記憶をも喚起させ、知覚して行く事になる。 本展ではこの夏に制作された作品を中心に、現在の、作者の、世界の感じ取り方をとらえる作品の展開となる。              竹下都(インディペンデント・キューレータ)

 



浜田涼 略歴
Ryo Hamada 1966. Born in Tokyo 1989. Graduated from Joshibi University of art and design, Major in painting 1990. Completed as a rescerch student in oil painting at Tama Art University 1992. Ai Gallery, Tokyo 1997. Suikatoh, Tokyo 2000. "SKYDOOR ART WORKS 2000" SKYDOOR ART PLACE AOYAMA, Tokyo "focal distance" OFF SITE, Tokyo 2001. "Spinning! 01" SAISON ART PROGRAM, Tokyo 2002. art and river bank, Tokyo 2005. GALERIE OMOTESANDO, Tokyo 1996. Mito annual '96 "PRIVATE ROOM Eight Japanese Artists in Photography" Contemporary Art Center, Art Tower Mito, Ibaraki 1998. "subterranean"- The Consciousness of >>Being on the Inside<<- Gallery Nikko, Tokyo 2001. "a corridor into memory " Gallery SOWAKA, Kyoto 2002. "Ego(s) volet 3" Centre d'Arts Plastiques Albert Chanot -art contemporain-, Clamart, France "TAMAVIVANT 2002"  Tama Art Univ. Hachioji gallery, Tokyo 2003. "women who caught the light"  POLA museum annex, Tokyo 1999. Modern museum of Art Tokyo, Tokyo 2001. SAISON ART PROGRAM, Tokyo 略歴 1966. 東京に生まれる 1989.女子美術大学芸術学部絵画科洋画専攻卒業 1990.多摩美術大学美術学部絵画科研究生終了 おもな個展 1992. 藍画廊(東京) 1997. 西瓜糖(東京) 2000.スカイドアアートプレイス青山(東京) "focal distance -焦点距離" OFF SITE(東京) 2001."Spinning! 01" セゾンアートプログラム・ギャラリー(東京) 2002."sensibilia" art and river bank (東京) おもな参加展 1996.水戸アニュアル '96 "PRIVATE ROOM" 水戸芸術館(水戸) 1998."subterranean"- < 閉じられている> という意識 ギャラリー日鉱(東京) 2001."記憶の回廊" Gallery SOWAKA(京都) 2002."Ego(s) volet 3" Centre d'Arts Plastiques Albert Chanot -art contemporain-(クラマール、フランス) "TAMAVIVANT 2002 実景から " 多摩美術大学(東京) 2003."光をとらえた女性たち" ポーラミュージアムアネックス(東京) おもなワークショップ 1999.東京都現代美術館(東京) 2001.セゾンアートプログラム(東京)

 


2004/05 
PETフィルムに油性顔料インクジェットプリント、フォトアクリル加工 650+700mm