久保舎己 版画展  

Sutemi KUBO Exhibition

 三重県在住の木版画家・久保舎己(くぼすてみ)が、30数年にわたり刻み続けてきた木

版画はゆうに1,300点を越える。黒1色だけで表現された膨大な数の版画は、若かり

し頃に体験した社会闘争や四日市公害に対する抗議運動といった社会的な問題を題材にし

たものから、浜辺に佇む家族の風景や、自家栽培を始めた妻を描いたごく身近な風景など

さまざまである。

 テーマや主義の声高な主張はない。ある一人の人間が、日々生きて行く中で目にしたさ

まざまな出来事が率直に描かれているだけである。悩み、傷つきもし、あるときは楽しげ

に、心乱され、平穏に。画面の中のさまざまな人間像は作者自身であるが、同時にそれは、

この社会の中の、名も知らないさまざまな「人」の姿にも重なってくる。

 今回は30〜40点を、作品にちなんだ風景の写真や資料などと併せて展示予定。

                            岡部万穂(美術ライター)


ーーー私たちはあまりにも多くの言説・情報・知識を抱え込み、会いもしない他人の眼を

気遣いながら、おろおろと生きているわけだけれど、絵というものは直接、見る人の心

にうったえかけてくるもので、それが絵のおもしろいところだし、きびしいところでも

あると思います。なぜ木版がといえば、その黒が美しいし、木はやさしいということです。

 私は淋しさと、わからないという一個の思いをたいせつにしてゆきたいと思います。

                         (舎己/2006年2月10日午前5時)



にんげんまめ 1982年 

イラク兵 

海辺の三人 2000年 

 

■久保舎己略歴

1948年 三重県に生まれる

1966年 寛永寺坂絵画研究所(上野)で絵画を学ぶ

1975年 木版画を始める

1980年 木版画初個展(三重県文化会館)

1982年 名古屋市立博物館ギャラリー  三重県文化会館

1983年 津市大門アーケード街頭個展

1987年 おに工房企画展

1988年 津市ごてんば書店ギャラリー  四日市市文化財団主催個展

1989年 美術状況変革を目的としたグループ「人展(ひとてん)」を主宰、企画展開催(91 年まで)

     山画廊(四日市)企画展(95年、99年、2000年、01年、02年、04年)

1991年 「からす」展(四日市市テレタウン)他、松阪市、名張市、静岡市などで個展開催。

2005年 「GAW展 Part? 路地から路地へ ゴールデン街」参加、久保舎己「個人たち」展開催

    山画廊(四日市)、ギャラリー喫茶 個現舘、(四日市)、有楽堂(三重郡菰野町)が中心となって作品発表。