竹下都(インディペンデント・キューレータ)企画

高畑早苗展

2006.6.19-7.1

会場:表参道画廊 


 

WEAR ME  ー無意識の鎧、意識の兜ー

 

20枚の、同じサイズ、同じ素材の、シンプルな白いドレスが有った。高畑早苗がそれにアクリルで絵を描き、ガラスビースをびっしりと貼り付け、最初の作品を完成させたのは2001年と言う。出来上がった作品をドレスとしてアトリエで着用もしてみたとも。しかし、描く事、作品作りでコミュニケーションを図ろうとする彼女にとって、衣服を作るのが目的ではなかった。着る事の制約から離れて描き始めたのは第三作目あたり。それ以降に生み出された作品群は、とりわけ自由な表現を持ち、私をすっかり魅了した。今回はこのドレスのシリーズ作品を展観する。

制作行程を聞く。音楽や美術や文学に出合ったり、山登りや誰かと出合ったりと、その時々の作者の心のありようがドレスに描かれる。その上を接着剤で被う、すると糊の白いカバーがかかる。そこにガラスビーズやダイヤモンドビーズを貼付けてゆく。透明、ブルー、グリーン、赤、黄のビーズは密度を保ちながら作品に光を与えて立体になる。その上にまたペイントを重ねてゆく。作品は糊やビーズの重さを内包し、十分自立するまでの強度を満たす。そう、作者の付けた副題:無意識の鎧。意識を超えた感覚的な知覚の具現化となる。

また、このシリーズには、ドレスに合わせたマスクも11体生まれた。紙粘土で型を作りサンディングをした立体にアクリルでペイント。ビーズが施された作品も有る。こちらは意識の兜、思考する作者の精神が表現される。

高畑早苗の作品に初めて出合ったのは1984年。現代美術と声高に云われた東京の美術界には全く無関心であるかの様に、独自の表現を持って絵画や彫刻の制作を続けて来た。作品の生み出せない時も有ったと聞く。常に人間に深く興味を持ち、描く事で自身を表現して来た。本展のタイトル:WEAR ME を私はとても気に入っている。このドレスの作品は平面作品?立体作品?その答えは、実際に作品の前に立って出して欲しい。私は、今直ぐにでも見せたい詩人がいる。

                          竹下都(本展覧会企画者)



WEAR ME #5 表 裏 ドレス、マスク 

WEAR ME #18 表 裏 ドレス、マスク

 

□□高畑早苗(たかはたさなえ)□□

群馬県生まれ。 高校卒業後、単身パリへ渡る。同年、フランスの二大サロンに入選し、18歳でパリのギャラリーにデビュー。21歳で渡米し、ニューヨークのギャラリーと契約。20代のほとんどをアメリカで暮らし、ニューヨーク、シアトル、東京で活動を続ける。油絵の他に立体や襖絵なども製作。

個展

1978年 マーナー・マイヤーギャラリー パリ / 群馬県民会館 前橋

1982年 「Puffs From Past Reincarnations」展 ゾマ ギャラリー ニューヨーク

1984年 「幸福な場所」展  佐賀町エキジビット・スペース 東京

1985年 ガレリエ キマイラ 東京

1986年 「明日の顔を探して」展  佐賀町ビス 東京

1987年 ペンリン ギャラリー  シアトル

1987年〜1989年 Wearable Artとして小品をシアトルアートミュージアム、

      タコマアートミユージアム等のミュージアムショップにて常設展示、販売。

1988年 イン・シンク ギャラリー シアトル

1989年 「遠方から来た人々」展 ギャラリー砂翁 ギャラリートモス 東京

1990年 スタイリング ギャラリー 西武ロフト 大阪梅田

     「Deep Freeze −4Dの情動−」横浜STスポット 主催:横浜市

1991年 「東京シリーズ プレビュー展」海外特派員記者クラブ 東京

1995年 「Intimate Reflections 1991-1995 生まれ出た自画像たち」巡回展

     佐賀町エキジビット・スペース 東京

1996年 フリッツ・アートセンター  前橋/ 法然院(方丈・講堂)京都

1997年 「My Sister’s Room」アーティストプレイス ミスチィフ 高崎

1998年 「有史以前の月」展 アーティストプレイス ミスチィフ 高崎

1999年 海外特派員クラブ 東京

2001年 ギャルリー ボノア 沖縄

2002年〜現在まで毎年 オープン スタジオ(人形町スタジオ)東京

2006年 表参道画廊 東京/ 法然院(方丈・講堂)京都/アートスペース美薔樹(ミラージュ)東京

グループ展

1977年 サロン・ドートンヌ パリ/ マーナー・マイヤー ギャラリー パリ

1978、79年 ル・サロン パリ

1980年 1000人のコレクターが選ぶ大賞展大賞受賞 主催:ギャラリー金田

1981年 ゾマギャラリー  ニューヨーク

この年以降、ゾマギャラリーのマネージメントによるグループ展をニューヨーク、フロリダ、フィラデルフィア等で多数開催。 ジャパンダイナスティー83’ワナメーカーズ社主催フィラデルフィア アルカディアチェルシー・スペースショー アルカディア社主催 1984年 ジャパンフェスティバル ニューヨーク

1988年 マスク四人展 ハートネス・シュース ギャラリー シアトル

1989年 サンデ・ウエブスター ギャラリー フィラデルフィア

1989,90年 ネオ・パーソナ ギャラリー ニューヨーク

1991年 ガレリエ キマイラ 東京

   「異次元ミューゼ」巡回展大洋工芸株式会社主宰 東京、大阪、福岡

1996年 フィリップモリス・アートアワード 東京/上毛新聞芸術奨励賞  2001年 東京インターナショナル・ラーニングコミュニティ オーストラリア大使館(インターナショナル障害児スクール設立チャリティーオークション)

出版 1995年「あ・な・た・た・ち」−自我からの癒し− (日本放送出版)

      文・上野千鶴子/絵・高畑早苗/解説・小池一子