鷹見明彦(美術評論家)企画


坂口寛敏 個展

会場:表参道画廊
会期:2006.11.7-18

会場風景




富田俊明 個展

会場:MUSEE F
会期:2006.11.7-18

 



はじめて大気圏外を遊泳したロシアの宇宙飛行士の回顧録を読んでい たら、
いちばん多くの人類が共通の記憶を分かった経験として、月面に 人間が降り
立つ姿と9.11の映像を観た日をあげていた。そのとき、 自分はいくつで、
どこで何をしていたか・・・という記憶のプール。そ れはながい時間の河を
こえて再生されつづけるコーランや聖書のエピ ソードとも、いつか合流する
のだろうか。 秋霖にけむる寺の門が見えてくる。たしかにいちど、「羅生門」
のロ ケ地になったと聞いたその門を武蔵野の近傍に訪ねた記憶があるのだ が、
いつのことだったのか、なにをしにそこへ行ったのか・・。変哲も ない市街地
のはずれに大きな円柱の門があらわれる。くぐる前に周辺の 印象は消えて、
門の軒でしばらく雨と過ごしたぐらいしか覚えていな い。空間よりも時間の
境い目に立っていたように映るあの門。グーグル の地図と航空写真に形跡が
みえるその場所を、また訪れてみよう。門 は、だれかを待って、まだ雨のむ
こうに立っているだろうか。

                         鷹見明彦(美術評論家)


現代美術の普及と若手作家支援のために2002年9月にスペースMUSEE Fを表参道画廊に併設し、
開廊記念展に美術評論家の鷹見明彦氏を迎えて、 《RHIZOME- 地下茎と水》が開催されてから4年
が経ちました。この度再び同じメンバーの坂口寛敏氏と富田俊明氏に展示をお願いすることになり
ました。4年間という 歳月に二人の美術作家の辿った足跡に現代美術の推移を重ね合わせて展望頂
ければ幸いでございます。
現在、東京芸術大学美術学部油科で教鞭をとる坂口寛敏氏は、 油絵などの平面作品の他にもインス
タレーション、広大な土地を使ったアースワークを制作しています。それらの作品の根底には、
流動する外の世界と自分を繋げる 行為があるということです。作品に見られる渦巻きやカタツムリ
のようなもの、或いはさまざまな形の円錐状のモチーフは、生成と循環のエネルギーの流れそのも
のの 表現となっています。また、作品全般におけるドローイング概念は、野外作品でも例外では
なく「空間の中のドローイング」という呼び方をされています。かろやかな のびのびとした曲線は、
繊細な線にも見えますが、そのたおやかさに潜む力強さは生命の発生のような神秘的な魅力を持ち
合わせています。近年、海外での活動が盛ん になり日本を代表する作家として注目を集めています。


●同時期開催展●

◎記憶・美術 現代アートシーン 2  2006.10.29-12.24 小海町高原美術館
長野県南佐久群小海町豊里5918-2 TEL:0267-93-2133 http://www.koumi-town.jp/museum/

◎坂口寛敏展 ギャラリーとわーる  2006.11.14-11.26
福岡県中央区天神2-8-34  TEL:092-714-3767    

 



 

展示風景 2002 表参道画廊
 

展示風景 2002 表参道画廊

展示風景 2006 表参道画廊
 

展示風景 2006 表参道画廊
 

 

 

坂口寛敏 

作品発表歴
1988,90  個展、ヒルサイドギャラリー、東京
  1989 「白州・夏・フェスティバル89」、山梨
1990 「渋川現代彫刻トリエンナーレ展」 群馬 
1993 個展/ギャラリー美遊、個展、村松画廊
1994 「ファーレ立川アートプロジェクト」 東京
1995 「環境のエピステーメ」ギャラリー美遊、東京、
   個展、ギャラリーαΜ、東京
1996 「ハンブルグ現代日本美術展」ハンブルグ市立カンプナーゲル・K3、ドイツ
1997 「たて、よこ、たかさ。ひろがり…展」山梨県立美術館
   「INSIDE展」 カッセル、ドイツ、
個展、村松画廊、東京
1999 「現代日本彫刻展」宇部市野外彫刻館、山口(東京国立近代美術館賞受賞)
2000 「越後妻有アートトリエンナーレ2000」 中里、新潟
2001 「発生の場/ドローイング」 東京芸術大学大学美術館付属陳列館 
  2002 「津山芸術祭」グリーンヒルズ津山、岡山
   個展、表参道画廊、東京
2003 個展、ギャラリーGAN、東京
   「越後妻有アートトリエンナーレ2003」 中里、新潟
2004 「Voices of Site展」 台東区立旧坂本小学校、東京
天井画「光の器」 介護老人保健施設シーダ・ウォーク、杉並区、東京
2005 個展 ギャラリー櫟 東京
  「体験与知覚展」 北京映画学院.中国 
  2005 「Voices of Site展」ヴィジュアル アーツ ギャラリー、ニューヨーク、U.S.A、
   「中国杭州国際芸術展」 中国美術学院、 中国
2006 「まつしろ現代アートフェスティバル2006」 松代藩文武学校、長野
「Inter Image展」 クイーズランド州立美術学校ギャラリー、ブリスベン、オーストラリア 

 

 

 


会場:MUSEE F 富田俊明 展

富田俊明略歴
1971 神奈川県相模原市生まれ
1994 東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻卒業
1996 東京芸術大学大学院美術研究科壁画専攻修了
2001-02 ポーラ美術振興財団の在外研修生として渡米

主な個展
1995 「水源への旅」、淡路町画廊、東京
1998 「引っ越しました・ウィークリーマンションプロジェクト」、ウィークリーマンション木場牡丹、東京
「投宿中」、ガルリSol、東京
2006 「あなたといる喜び」、東北芸術工科大学アーティスト・イン・レジデンス、山形

主なグループ展
1995 「東京芸大・ソウル美大 大学院交流展」、東京芸術大学資料館陳列館、東京
1996 「Oneday Oneshow」、ギャラリー360°、東京
1997 「日本芸術家聯展」、中華人民共和国福建省泉州市恵安縣崇武鎮
「The Other Exiles -境界・複数・他者-」、ガレリアラセン、東京
1999 「チバ・アート・ナウ‘99 知覚の実験室」、佐倉市立美術館、千葉
「東アジア文字芸術の現在」、芸術の殿堂・書芸館、ソウル
2000 「Screening Japan」、Hallo!、コペンハーゲン/Rum 46、オーフス、デンマーク
「公案」、ガレリアラセン、東京
「旅の諸芸/温泉街によばれたアーティスト」、伊豆長岡町、静岡
2001 「横浜トリエンナーレ2001」、横浜
2002 「Blind Date」、Kunsthallen Brandts Klaedefabrik、オデンセ、デンマーク
「RIZHOME−地下茎と水」、表参道画廊、東京
「Video Art Screening 記憶へのまなざし」、NICAF2003関連イベント、東京
「ヴァナキュラー・スピリット」、国際芸術センター青森アーティスト・イン・レジデンス、青森
2005 「Trans-05」、秋吉台芸術村アーティスト・イン・レジデンス、山口

ワークショップ
「泉の話」、相模原市立大野台小学校、神奈川
「自己紹介ゲーム」「ストーリー・テリング・イヴニング」、Kunsth?jskolen P? ?r?,、 ソビー、デンマーク
「ブラインドデートのためのプロジェクト」、デンマーク王立美術アカデミー、コペンハーゲン、デンマーク
「心の原始人」、三内丸山遺跡、国際芸術センター青森、青森
「虹と風」、「虹の体」、国際芸術センター青森、青森
「交代されたい」、小学校、アーカスコミュニケーションプログラム、茨城
2006 「『泉の話』『二重体』を読む」、東北芸術工科大学アーティスト・イン・レジデンス、山形

著書
1997  「空想之島」、「美術手帖」1997年7月号、30-33項、美術出版社、東京
2001 『泉の話』、CCGA現代グラフィックアートセンター、福島
2004  『二重体』、富田俊明、私家版




富田俊明氏は、02年の開設記念展の後、国際芸術センター青森や山口県の秋吉台芸術村、 東北芸術工科大学の
アーティスト・イン・レジデンスに参加しワークショップなどの活動を続けています。その地域とそこに住む人々やその土地に根ざす
ものを大切にして制作する姿勢は独特な制作のスタイルとしてさらに重要な意味をもちはじめています。あらゆる現代社会の場面で
ややもすると隅に押しやられがちな「時間を十分に費やす」という行為の上ではじめて成立するコミュニケーションというものが制作
の鍵となっています。 他人を理解することで閉ざされた自分の一面を発見することにつながり、それがそのまま制作に裏打ちされてい
 るかのように、鑑賞者の眼差しがあたたかい色に変わるのが見えそうな作品になりそうです。                                                                                  


相模原市大野台小学校2001