川上和歌子展
  
『わかこ離宮』

竹下都(インディペンデント・キューレター)企画


2006.9.25-10.7

会場:表参道画廊 



川上和歌子は、1995年から五つのシリーズで作品を制作している。「ひとがた」
「おでかけ」「帽子の花」「和歌子」「まくら」と。今回の個展では、その中の
「和歌子」シリーズの系列となる『わかこ離宮』と名付けられた新作を展開する。
両手に入るサイズの、眉間に花の咲いた「わかこ人形」がおびただしい数配され、
ギャラリー空間に庭園が創出される。観る者はその中に誘われ入って行く。作家が
作品を生み出す不思議には、何時も感動を覚える。そして、作品の中に立って「こ
れは現実と夢との狭間?」と、憶いを巡らせる。絵であれ彫刻であれ写真であれ、
表現方法を問わず、何時も同じ感覚に陥るのは私だけだろうか?インスタレーショ
ン作品の中に立つ時はとりわけその感が強い。

今回展示される川上和歌子の、おびただしい数の人形の事を巡って、何故かフラン
シス・ベーコンのアトリエを思い出した。あれはたまたまダブリンの友人を訪ねた
旅の中、アイルランド・ダブリン生まれの作者の、おびただしい物達に溢れたアト
リエが、ロンドンから故郷に移転され保存されていると聞き、さっそく美術館に出
かけたあの時の事を。本当に凄まじいと表現するのがぴったりの空間だった。そし
て美しい空間だった。中に入る事は許されず、窓の外から覗き込む展示であったが、
作品が生まれる時の、作者のエネルギーに満ち溢れた部屋だった事を、今でも鮮明
に覚えている。私は川上和歌子の部屋は知らない。作品が生み出される瞬間をアト
リエで立ち会った事も無い。しかし、フランシス・ベーコンのアトリエで感じた、
透明でピュアな場に出会ったという思いは、今回の『わかこ離宮』に繋がるような
気がしてならない。何故か?と問われると、そこには同時代の孤独や不安を超えよ
うとする作者の強い意志が内包されているからだ。 

「私が生み出したひとですが、私の分身とは思っていません。このひと達を好きな
だけ好きな時に制作して、ギャラリー空間や商業空間などを埋め尽くしていきます。」
と淡々と答える川上和歌子。今までモチーフとなったのは、ひと、花、まくら、い
すやフェンス、帽子やリュックサック、輪、庭など。使われる色は赤、黄、青、緑
などと、まるで幼児の感受性と対応するかのように、自己表現を繰り返している。
そして観る者を自由な不可視の世界へと誘ってくれる。

                         本展覧会企画者 竹下都

 



jam-aid 200-2001 

おやすみマウンテン 2005 

 

■HP http://www015.upp.so-net.ne.jp/wakako/をご覧下さい。

□ □川上和歌子(かわかみわかこ)□□

略歴

1969  大阪府生まれ

1992 武蔵野美術大学短期大学部専攻科美術専攻 修了

主な展歴

1995 ミュージアムシティ天神・芸術作品自動販売機参加(福岡)

1998 フィリップモリスアワード・最終審査展/東京国際フォーラム(東京)

   「ゲームの規則」/ギャラリーアート倉庫(東京)

1999  岡本太郎現代美術大賞・入選作品/国立オリンピック記念青少年綜合センター(東京)

   「ART in Living Room」現代美術製作所(東京)

    パークタワーアベニュー/新宿パークタワー(東京)

2000  Morphe 2000 「亜縄亜遺伝子」/アニヴェルセル表参道(東京)

   「まちがいミュージアム!」/富士吉田市下吉田地区(山梨)

2001 「CHARAMIX.com」文化庁メディア芸術祭企画展/恵比寿ガーデンホール)(東京)

   「亜縄亜散歩〜CUTE〜」/水戸芸術館(茨城)

2002 「カフェ・イン・水戸」水戸芸術館界隈/常陽銀行本店(茨城)

「コミュニケーション」/アカデミア・プラトニカ(茨城)

「アートスコープ〜ワタシの内側/アナタの外側〜」/杉並会館ギャラリー(東京)

2003 「トロールの森・ユニークな造形たち」/都立善福寺公園(東京)

2004 「ARTSCOPE」/SELASAR SUNARYO art space (Indonesia)

2005 「THE LIBRARY」/足利市立美術館(栃木)、多摩美術大学美術館(東京)

2006 「花みずき 街角誰でもアーティスト」/深川資料館通り商店街(東京