東京写真月間2008

倉石信乃企画

秦如美写真展 日常
Chin Yomi: Everydayness


会期:2008.5.19-31

会場:表参道画廊 




 日常にまつわる心の働きには「期待」がある。期待とは差異のことだ。時の移行のな かに定常的であることが期待され、定常的な時のなかに移行が期待される。このずれ においてもう一つの心理、「不安」が到来する。不安によって日常は、安んじて帰還 できる手軽な楽園とみなされ、いまここではない「いつかどこか」を呼び寄せるため の祈とう所となる。こうして日常は期待と不安のサーキットを形成する。 しかし秦如美の写真が伝えているのは、そんなサーキットの心理学ではない。そうで はなくサーキットの周囲にある、逃げ場のない、直面する物理的な心の震えである。 震えているのは「この私」ではなく「周囲の事物」であり、その中に「私という物」 もある。
              倉石信乃(批評家・明治大学准教授)



作家略歴

2002年 東京綜合写真専門学校研究科卒業。
     同年、写真集『月の棲家』(冬青社) を刊行、
     また新宿ニコンサロンで個展開催。
2004年 から継続中の国際交流基金主催に よる国際巡回展
     「アウト・オヴ・オーディナリー」展に出品。
現在、東京在住。






 
 

「日常」(EVERYDAYNESS) 2006 夏