”No Place Like Home” 
 John L Tran


2008.9.1-13

会場:表参道画廊
会期:2008.9.1-13 日曜休廊
時間:12:00-19:00(最終日17:00)
オープニングパーティ:9/2(火)17:00-19:30
後援:British Council, Daiwa Anglo-Japanese Foundation, 筑波大学
協力:竹下都(インディペンデント・キュレーター)+表参道画廊





 風景は何によって、英国的また日本的だと認識されるのだろうか?
地理的な、また人工的な表象物は、日常的には我々の視線の対象となる
ことはない。
 本写真展では、どこにでもありながら奇妙にも忘れら れてしまいがちな
視覚文化である「サイン」にピントを合わせて制作された。私、英国の
写真家ジョ ン・トランと筑波大学の西川潔教授とのコラボレーションに
より生まれたこの作品群は、日英の風景写真の中に写りこんだサインや、
その他の視覚文化を入れ替えることにより、文化的に曖昧となった空間
のイメージを展観する写真展である。         John L Tran                                                                                                                        
      
本展覧会はUK-JAPAN 2008の美術イベントとして開催されます。
UK-JAPAN公式ホームページ http://www.ukjapan2008.jp/




              □展覧会概要□

展覧会名:”No Place Like Home” John L Tran
会期:2008年.9月1日(月)-13日(土)日曜休廊
時間:12:00-19:00(最終日17:00)
後援: British Council, Daiwa Anglo-Japanese Foundation, 筑波大学
協力:竹下都+表参道画廊
会場:表参道画廊
   東京都渋谷区神宮前4-17-3 アーク・アトリウ ム B-02
   tel+fax : 03-5775-2469 
   E-MAIL: HYPERLINK "mailto:info@omotesando-garo.com" info@omotesando-garo.com
   HYPERLINK "http://www.omotesando-garo.com" www.omotesando-garo.com


展示作品:写真10点を出品予定



no place like home

Signs at their most basic are transmitters of functional information, they also give character to an area, exclude and territorialise. However, they depend on the presence of a complementary observer to give them validity or authority. This series of images has been created for the anniversary of diplomatic relations between the UK and Japan and shows scenes from British and Japanese urban and rural landscapes in which signs (advertising, road and direction signs etc.) have been digitally transposed from one country to the other. The images may be disorientating, humorous or threatening, and aim to question what we take for granted in our culture and daily habits.

The aims of this project are to provide a broader experience of landscape in and of these two countries, beyond the touristic, and to be a visual catalyst for viewers to consider the nature of cultural exchange and globalisation. After 150 years, how much do we really know each other, and more importantly, how much are we willing to accept that beyond supposed cultural differences there is a common normalcy of everyday life?



日英の参加者コラボレーションによる写真プロジェクト


サインはその最も基本的な意味においては各種情報を機能的に伝達するトランスミッターであるが、同時に地域に個性を与え、他を排除し、境界線を作り上げる。しかしながら、サインというものは、それを眺めて意味を理解するオブザーバーの存在がなければなんらの正当性も権限も保有してはいない。本プロジェクトは日英両国の都市と田舎の風景写真に写りこんだサインを入れ替えることによって得られる視覚的な効果を探求するものである。写真の内容は、紛らわしかったり、ユーモラスであったり、あるいは脅威を感じさせるものであったりし、ゆえに見る者に、自分が生活している文化や毎日の習慣の中で当然と思っていることに疑問を感じさせるようなものになるであろう。

本プロジェクトの狙いは、日英の現実の風景をより幅広い意味で‘経験’する場を提供し、見る者が文化交流やグローバリゼーションの意味をあらためて考え直すための視覚的触媒となることである。







曖昧さの二乗
西川潔 

写真について語ることはしないと決めてきたが、あらたまって考えてみると、自分は写真について語れないと言う方が正確のようだ。理由は、写真のもつ曖昧さにつきる。デザインの世界では比較的目的がはっきりしており、可能な限り説明でき、合理的であることを求められる。特に我々が関わるサイン計画ではその傾向が強い。もちろん写真に付いての研究書や芸術論はあまたあるが、それらは概して抽象的で難解なものが多く、カタチ人間の私はたいていの場合、途中で投げ出してきた。
   さて、今回のトラン(John Tran) の作品の主題は、曖昧さの二乗である。しかし、そのことはじっくりしっかり眺めないと見えてこない。周到に計画され、入念に制作された写真は、どこにでもある風景であり、声高に作者の感性を表する類のものではない。それは曖昧さに満ちた、極めて美しい写真である。だが、英国や日本の風景になじみ、また双方の文化に触れたもの、あるいは映像的感性に鋭いか、物語好きな観察者には、目の端で何かの気配に気づくような感覚で、ある種の違和感を持ったのではないだろうか。
   ところで、オックスフォードのカメラと呼ばれる建物や、ブライトンのロイヤルパビリオンなど、中にはシンボリックなモチーフを用いた作品もあるが、ジョン氏は、これらの写真を日本の学生に見せたとき、殆どの学生が、何の奇異感も抱かず、ただの風景写真として見たことに驚いたといった。私はそれを聞いて不思議には思わなかった。そしてそのことの確認は、むしろトランの目論見の一つでなかったか。彼らの殆どは平成の生まれである。もの心ついた頃よりCGを見、アニメを楽しみ、ゲームに親しんだ世代である。映画はもとより、TVのCMにしても、子供が瞬時に、むくむくと大人に変身したり、犬のお父さんがいたり、時間と空間を超越するなど朝飯まえである。だいぶ古い映画だが、バットマンが高層ビルから飛び降りるシーンがあった。当然、そこはCGで作られたが、その画像が地上に降り立ち、走りだすところまで続いたらしい。そこで、バットマン演じる俳優が肖像権の侵害だとクレームをつけたとどこかで読んだ。ことほどさように、現物と創造のイメージは混沌としているのである。そして若者の受容器は、アナログ時代のわれわれとはちがって、寛容である。映像の世界では特に、何があっても不思議とは思わないのではないか。モニターの中は、もともとおとぎの国なのだ。現実の生活に於いても、ロイヤルパビリオン風のパーラー(パチンコ店)があっても、サクレクール風結婚式場に出会っても、浜辺に転がるヤシの実をみて、はるか南方の国に想いを馳せた、藤村の「ヤシの実」の唱歌を思い出すような人はまれであろう。世界も小さくなって、たいがいのことがあり得る時代なのだ。若者のみならず、私たちの感性も、細かい刺激にいちいち反応することなく、受け流したり、処理することが多くなってきている気がしてならない。
   そんな時代に、現地に赴き撮影し、敢えて光の角度や調子を微妙に合わせ、子細にパースを調整し、何気ない風景にサイン・看板類をもって、洋の東西を密かに織り込み、曖昧さを増幅させた作業の目的は何であろうか。記号(サイン)の効能? 異文化、異空間のコラージュ? 無批判に見ることへの警鐘? ズレの間隙を覗く楽しみ? アイデンティティの確認? ・・・・いや、そんなまとめはよそう。 写真を観て、それが放つメッセージをまず受け取ろう。そして、ジョン氏が静かな池の淵にたち、手に持つ小石をそっと投げ込み、その波紋がどこまで広がってゆくのかを、目で追う姿を想像するに止めよう。
 




 会場風景


 Venus Bridge, Kobe







□John L Tran 略歴

ジョン・トランは1965年ロンドン近郊St Albansで生ま れ、サセックス大学でIntellectual Historyと
フランス語を専攻した後来日し、数年を関西で過ごした。1994年に英国に帰国しLondon College of
Communicationにて写真の修士号を、続いてChelsea College of Art and Designにて日本の風景写真
の歴史 をテーマに博士号を取得した。現在は講師として筑波大学芸術学系に勤務している。

John L Tran was born in 1965 in St Albans, near London. He studied Intellectual History and French at Sussex University and spent several years in Kansai after graduating. Returning to Britain in 1994 he studied an MA in Photography at the London College of Communication, followed in 2001-2005 by a practice-based PhD at Chelsea College of Art and Design, investigating the history of Japanese landscape photography.
Dr Tran currently works an assistant professor in the faculty of Art and Design, Tsukuba University.

John L Tran Solo exhibitions
1 June - 3 Aug 08       No Place Like Home, Tsukuba University Art Space
19-29 Nov 07          Second Nature, Shimin Gallery, Tsukuba
17-29 Sept 07          Return to Fairyland. Omotesando Gallery +  MUSEE F, Tokyo
18 June - 14 July 07    LANDHOUSEHOME. Memories Gallery, Tsukuba
19-23 Sept 05          Return to Fairyland. Chelsea College of  Art & Design, London
8 May - 8 July 04        Utamakura Sites. Japan Foundation,  Toronto, Canada
18 May - 7 July 01       Utamakura Sites. Pitshanger Manor &  Gallery, Ealing, London
                        Official event Japan 2001 Festival
16-23 Nov 99           Utamakura Sites. OP Photogallery, Hong Kong.
Oct - Nov 98            Utamakura Sites. Asuka Historical  Museum, Japan
Official event, UK98 Festival
Sept 96                 Vietnam Night & Day. Studio Theatre  gallery, London
May 96                 Rotten Suns. Islington Arts Factory,  London

Selected group exhibitions
June - Aug 07            Global Cities, Tate Modern, London
Sept -Nov 06            10th International Architecture  Exhibition, Venice Biennale
June - July 04            Dislocation, Volkswagen Fotogalerie, Hong  Kong
Feb 03                  inbetweenandunderneath, Century  Gallery (curator and exhibitor), London
March 02                The end of History, Mirror Gallery, London College of Communication
Nov 2001                MA show, Arts Pavilion, Mile End, London




 John Tran
「No Place Lke Home」
 


西川潔(にしかわ きよし)

1946年5月27日 日本 神奈川県生まれ

◆研究主題
サイン計画、アート・色彩計画、タイポグラフィ

◆勤務先・職種
筑波大学大学院人間総合科学研究科・教授・芸術専門学群長(学部長) 

◆学・職歴 等
1969.3.31 東京教育大学芸術学科卒業
1971.3.31 東京教育大学大学院修士課程構成専攻修了
学位    博士/デザイン学 ・修士/美術学

◆学会活動等
日本デザイン学会理事 ・日本基礎デザイン学会理事 ・日本医療福祉建築協会会員
公共の色彩を考える会会員・水戸市景観審議会委員・屋外広告士資格審査委員

◆主要著書

「ビジュアルコミュニケーション」 ダヴィット社 1975(分担)
「写真集・間隙の風景」  ダヴィット社 1978
「ヨーロッパ伝統の看板」  ダヴィット社 1981
「屋外公共サインの設計指針」 茨城県 1992
「英国・ビレッジサイン」 玉川大学出版部 1998 (共著)
「サイン計画デザインマニュアル」 学芸出版社 2002
「大規模行為に係わる景観色彩ガイドライン」 茨城県 2003(分担)
「デザイン事典」 日本デザイン学会編 朝倉書店 2003 (分担)
「屋外広告の知識2:デザイン編」 ぎょうせい 2006(監修・著)



◆制作(基本計画・アートディレクション)

筑波大学附属中央図書館サイン計画 1972
水海道市図書館サイン計画 1982
諏訪中央病院サイン計画 1986
公立松任石川中央病院サイン計画 1989
東京都大田区公共サイン計画 1990
松任市サイン計画 1991
大阪市立総合医療センターサイン計画 1993
大牟田市立総合医療センターサイン計画 1995
つくば市コミュニティバス外装デザイン 2002
筑波大学30周年記念シンボルゲートデザイン 2003
つくば市サインシステム基本計画・実施設計 2004-2006