小川佳夫個展


2008.3.24-4.5

会場:表参道画廊
企画:鷹見明彦(美術評論家)+表参道画廊 




 立ち上がって両手をのばしたように巨きな色面が、そこにはある。紫、緑、黄・・・色を闇に融かしたその広がりの上に、一閃の残像を思わせる原色の筆跡。均質に延ばされた絵具の量は、それを生成した刷毛のあとによって主観を消した色のフィールドに変わっている。そうして洗い出された空間を擦過した筆あとは、いま負ったばかりの痕(きず)のように生々しい。
 東京芸大を出て発表をはじめた1980年代から90年代前半には、第1回VOCA展(1994)をはじめ、新世代の絵画をになう才能の一人として評価を集めた小川佳夫。95年の渡仏以後、12年間のパリ滞在をはさんで同じ方法によりながら、ゆっくりと海流とともに巡り育つ鯨のような成長を見せる画家の帰国展。一見、純化された作法に映る小川の画業は、錬磨された術中に収斂されてしまうのではなく、孜孜(しし)として葡萄畑を育もうとする人の忍耐と歓びに近い。ひと房の収穫のために耕し苗を植え、剪定をつづける。それは大地という額のうえに束の間の痕跡を残していく存在のサインにも映る。

                  鷹見明彦(美術評論家)
 




 
La mer endormie
海ねむる
187×250cm
2005
 

 


小川 佳夫  
        
1962年 1月12日、静岡県藤枝市生まれ。
1990年 東京藝術大学美術学部 大学院絵画科油画専攻修士課程修了
1995年 9月 アーティストビザを取得し渡仏 パリ在住 2007年9月より東京在住 


個展

2008年  表参道画廊 (東京) 
     ギャラリーf分の1 (東京)
     ギャルリ・ピエリック・トゥシュフー (ソー、フランス)
2007年 サンピエール・ド・モンルージュ(パリ)
     ノートルダム・ド・パンタコット(ラ・デファンス、フランス)
2006年 アートカゲヤマ画廊 (藤枝)
2005年 エスパス・キュルトゥレル・ベルタンポワレ (パリ)
     ギャルリ・アンドレマセ (パリ)     
     ギャルリ・デュ・テアトル (カシャン、フランス)
2004年 図書新聞小川町画廊 (東京)
2001年 ステュディオ・マレショウ (パリ)
2000年 アソシアシオン・シューベルティアード (パリ)
1992年 ギャラリー永井祥子 (東京)
1991年 ギャラリー白 (大阪)
1990年 ギャラリーQ (東京)
1989年 長谷川現代美術館 (焼津)


グループ展

2007年 パリへ-洋画家100年の夢展  東京藝術大学美術館(東京)
     新潟県立近代美術館(新潟)
     MOA美術館(静岡)
     サロン・ド・モンルージュ  (モンルージュ、フランス)
     グランプリ・ド・パントゥール・ド・サン・グレゴワール
                          (サン・グレゴワール、 フランス)
2005年 サロン・ド・モンルージュ  (モンルージュ)
2004年 美術における赤の哲学展 ベルルグァード文化センター(ガンディア、スペイン)
      ビエンナール・ ダール・プラスティック (カシャン)     
     ギャルリ・パスカル・ヴァンネック (カシャン)     
     ギャルリ・ド・モンパルナス (パリ)
1998年 ジュンヌパントュール  エスパス・エッフェル・ブランリー(パリ)
1994年 VOCA 展 上野の森美術館 (東京)
1993年 表層の冒険 小川佳夫 館勝生展 モリス画廊 (東京)
1992/1991年 A-Value展    静岡県立美術館 (静岡)
1991年 TRANS-SURFACE 表面の再発見 ギャラリー古川  (東京) 
1990年 絵画論的絵画3  ギャラリー白 (大阪)
1989年 Envision ’89  ハイネッケンビレッジギャラリー  (東京)     
     絵画の根拠2   ギャラリー白 (大阪)
1987年 絵画の根拠  (ギャラリー白 (大阪)