Trait d'union 21
 
衛藤文俊

協力企業:株式会社カンペハピオ 


2008.6.30-7.12

会場:表参道画廊 



 今年はラッカーペイントのメーカーであります、株式会社カンペハピオさんのご協力によりラッカー製品のご提供を頂きました。参加作家の衛藤文俊は、アメリカンポップンアートが現代を写す鏡として描き出したように自称ジャパニーズポップンアートを「ポップンアート」というシリーズ作品として発表してきました。情報が氾濫する現代の、その表層的な情報提供や報道の仕方にも疑問を持ち、現代のカロリーオーバーなモニュメントとして制作を続けています。


 今回提供されるラッカースプレーは、ホームセンター等で一般向けに販売されているもので、主に、日曜大工やグラフィティ(落書き)として使用されています。商品の性質上、多くの人に好まれるポピュラーな色合いを揃えており、均一な画面を作りやすいなどの特長があります。この性質は個人の技術力をカバーし、単調な表面を担保するという反面、無個性な画面を提供するといえます。今回、制作意図の上で極力個体差を無くし、浮き出される現代を表出させるのに最適な色材であり、大量消費・大量生産の象徴として採用させていただきました。しかしながら、油絵具やアクリル絵具やエアブラシなどでは作れない画面の均一さや厚みなどの表現に画材としてのもう一つ別な側面を発見できました。

 
 作家の生まれ育った湘南・藤沢は、東京のベッドタウンとして発展していき、幼い頃遊んだ空き地は時代とともに次々と建物で埋まってゆき、見渡す限り庭付きの一戸建て住宅が建ち並びます。現代的でオシャレなデザインの新築住居が建ち並んだ結果、同じ外観で外壁の色だけが違う家が反復され、そこはまるで人が住んでいないモデルハウスのような、空虚で無機的な街並みに変化していきます。そんな街並みを写真に収め、ラッカー作品へと変換することで、風景のもつ相反する二重性を、そのままフラットな画面へと転化させていきます。作家自身の原風景と現代性を融合した作品を制作することで、問題を個人から社会へ、社会から個人へと還元していきます。










□衛藤文俊
1978年 神奈川県生まれ
1999年 東洋美術学校絵画研究科中退
     個展 「嘘の真実展」 鹿友アートサロン 京橋
2000年 第26回青年美術展 東京都美術館  出品作品「オナニー」
2001年 芸術道場GP 東京都現代美術館 出品作品「ポップンアート」
2001年 個展 「ポップンアート」 デザインフェスタ 原宿
2003年 ARTISTS BU ARTISTS 六本木ヒルズ森タワー53F 出品
2004年 Free ART Free 2004 ギャラリーGAN 青山
2005年 個展「せんづる」 ギャラリーエス 青山
2006年 個展「せんづる」 MUSEE F 表参道



 




「それは人というものが、なにかと同一化せねば、自己を自己として見いだすことができず、 逆にそうすることで自己の存在を失うと同時に、自己の居場所を他者に占拠されてしまうと いうジレンマを持つものだからである。」
                    福原泰平「ラカン 鏡像段階」講談社より


 衛藤文俊
「モデルハウス藤沢」56.0×80.0cm 
パネル キャンパスラッカー 2007
 



 衛藤文俊
「モデルハウス藤沢」56.0×80.0cm 
パネル キャンパスラッカー 2007