姜 美賢
(カン・ミヒョン)写真展




会期=2009年3月2日[月]−7日[土]
会場=表参道画廊




◎展覧会について 「姜美賢と写真」   
                        山縣 煕

姜美賢は「枯れていく花」に「人の影」をみるという。そこに彼女は「強大な都市の中」に生れ、死んでいく人間の様々な表情をみるという。小説家、長部日出雄は「夢の落葉」という小説作品の冒頭を次のように始めている。「カメラというのは面白い装置だ。自分ではレンズを向けた対象を撮っているつもりで、じつはファインダ−を覗いている当人の意識、あるいは無意識が映し出される」と。そしてこの当の作品は、なぜか落葉ばかりの写っているソ連旅行のスナップ写真を前に、主人公「ぼく」の、記憶の印画紙に浮かび上がってくる、友人に対する十五年前の罪責感を現像してみせる。 姜美賢は、枯れ花に、大都市に生きる人々の表情をみ、枯れ花を様々に演出してみせる。私はそこに何をみるのか。また、人はそれぞれそこに様々な物語を紡ぎだすであろう。今から楽しみである。


山縣 煕(やまがた ひろし)
大阪芸術大学教授、神戸大学名誉教授 専門は美学、映像論、現代フランス思想。 著書に「語る言葉、起(た)つ言葉」、訳書にジル・ドゥル−ズ「感覚の理論」など。





◎作品について

夢見る都市 
「花から」

  枯れてゆく花から人の影をみる。
唯一な美しさは時間が経つと共に馴染み出る色に染められる。
まるでこの強大な都市の中で生きていく人の笑いや涙、情熱や悲しみ、寂しさといった表情のように。

枯れてゆく花が美しいのではなく、馴染み出る色に酔わされる時もあるのではないか。

                                
現代の我々の多くは、都市で生まれ、育てられ、大人になってからはその都市の中から仕事場をみつけ、社会の一員としてあたりまえに生きていく。あまりにも自然に流れていく都市の中の一員としての一生。

しかし、ある日の夕方・・・
ビルディングの上から眺められる都市の風景と人々の表情から、人間がこの巨大な都市で消費されていくような気がしてならなかった。かつては、花のように有一の美しい存在であったはずの人々。有一の美しさが時間と空気に触られ、それぞれの表情に生まれ変わっていく。しかし、なぜかその表情は空しいというより、涙が出るほど美しくて力強い。

私の写真は、多くある都市の表面を撮ったものではなく都市に生きている人間の感情をテーマとしています。人間の感情というのはとても抽象的なものであります。都市の中に生きていく人間の感性をまるで人間の身体の毛細血管のように繊細ながら力強く表現したくなりました。
                         姜 美賢




◎作家経歴

姜 美賢( カン・ミヒョン)

1999年日本に留学、現在大阪芸術大学院芸術文化学博士課程在学中。 現代美術における写真の役割と新しい写真表現について研究、制作を行っている。2006年から韓国の写真雑誌『月刊写真』日本の写真家論を掲載。 日本の写真史や日本の写真作家について紹介、批評活動をしている。

〈展示経歴〉 2002.08 大阪芸大ギャラリー、「Image of Red」 写真展、 Osaka 2003.10 広島旧日本銀行本店、平和をテーマにした企画展「Kanjo展」 企画、 Hiroshima 2005.08 Gallery the Space、「K展」‘カメラに残された瞬間’ 写真設置、 Seoul 2007.12 ギャラリー・アット・ザ・ハイアット(Gallery at the HYATT projects)、 オープン記念招待作家展、 Osaka ギャラリー・アット・ザ・ハイアット、 日韓の2人写真展「フラヌ−ルー都市の遊歩者」、Osaka ギャラリー・アット・ザ・レクサス泉北(Gallery at the LEXUS Senboku)   企画ギャラリー、日韓の2人写真展「フラヌ−ルー都市の遊歩者」、Osaka

(受賞経歴) 大阪芸術大学芸術学部芸術計画学科 卒業製作学科 学長賞受賞 2006.03 大阪芸術大学芸術研究科 芸術文化学 卒業論文 総長賞受賞

(研究発表) 2006.05 日本映像学会関西支部第47回研究会 「『行為』としてのソフィ・カルの写真」   



        
◎ 2008年02月04日 コラム: 映像と文化通信『徳山 喜雄 姜 美賢 二人展 (写真) 』ケイ・イシカワ 姜 美賢氏の作品は都市社会で染められていく人生に滲み出る色をモチーフに枯れゆく花を撮っている。やわらかいめしべ・おしべは被服(チマ・チョゴリ)を思わせる見事な花弁にそっと包まれているかようだ。 都市社会の中でのいのちの営み。次第に時に染められて、深い、馴染んだ色合いを見せる。



   



 
 



 
 



 会場風景
 



 ホールからの会場風景