I’m here. vol.3
東京展 [森の発生/森の腐敗]

中田朝乃 + 土ヶ端大介 + 古川紗帆


会期=2009年1月19日[月]−31日[土]
会場=表参道画廊 + MUSEE F
主催=東北芸術工科大学(卒業生支援センター)
協賛=東北芸術工科大学校友会/卒業生後援会
企画=美術館大学構想室 キュレーター=宮本武典[美術館大学構想室主任学芸員


レセプションパーティー&スペシャルトーク
講師=赤坂憲雄(民俗学者)×岡村桂三郎(日本画家)
日時= 2009年1月24日[土]18:00−20:00
会場=表参道画廊





東北芸術工科大学で伝統的な漆の技法を習得した古川紗帆は、山形県小国町の伝統的な猟師集団・マタギの協力を得て、朝日連峰での狩りや獲物の解体、またそれに伴う様々な儀礼の場に立ち会い、彼らから譲り受けた熊、鹿、狸、兎などの毛皮を漆で固めて作品化している。新作『The rifle of the deer』は、狩りで実際に使用された猟銃を乾漆で複製し、鹿の毛皮と組み合わせたものだ。漆掻きや狩猟など、山の民の古くからの生業が、エレガントとグロテスクを同居させて造形化されている。 昨年、同大日本画大学院を修了した土ヶ端大介は、黒いストッキングを裂いたりのばしたりすることで動植物を描いてきた。しかし、動物たちのフォルムそのものは便宜的なもので、土ヶ端の興味は、生物が死んで腐敗し、微生物に分解されていく過程の実況中継のような制作行為そのものにある。そして、都市の片隅で人知れず朽ちているはずの、カラスや猫の遺骸に明るい路上で唐突に出会うような、直接的なマテリアルで観る者を待ち構える。 同じく山形で日本画を学んだ中田朝乃のドローイングでは、植物たちが人の「顔」をプランターにして繁茂する。杉植林の後遺症により帰るべき里山を荒廃させ、肥大化する都市の隙間に詰め込まれるようにして暮らしている、私たち一人ひとりの肖像にも見えてくる。ここに牧歌的な自然観はなく、都市生活によってねじ曲げられた変異体としての「植物(人間)」たちが佇む。 2008年度のI'm here.シリーズ最終回となる本展『森の発生|森の腐敗』は、工芸や日本画の伝統的なスキルが、山形の風土と混ざり合いながら生成させた、アートにおける新しい生態系を陳列する。東京と山形、自然と人工、これらの差異を縫合するかのように彼らから提出される「森」のイメージは、現代における生と死のフォークロアを静かに物語っていくだろう。
       
          宮本武典[東北芸術工科大学主任学芸員]







 
上:「Human Portait」|中田朝乃 Asano Nakata
2008年|紙本着彩
下:「風貌」|土ヶ端大介 Daisuke Tsuchigahata
2005年|岩絵具、箔、ストッキング、接着剤、糸|撮影:JEYONE


□中田朝乃|Asano Nakada

1982年東京都生まれ。
東北芸術工科大学美術科日本画コース卒業。
同大学院日本画修了。
卒展プライズ2007受賞。
主な個展に2008年なびす画廊(東京)など。



















 

「stranding」|土ヶ端大介 Daisuke Tsuchigahata
2005年|岩絵具、ストッキング、接着剤、糸|撮影:JEYONE




□土々端大介|Disuke Tsuchigahata
1980 年東京都生まれ。
東北芸術工科大学美術科日本画コース卒業[優秀賞]。
同大学院日本画修了。
2004年から創画展に出品。
2005年第16回臥龍桜日本画 大賞展[奨励賞](06年入選)/第3回豊橋トリエンナーレ星野眞吾賞展。
2007年第25回上野の森美術館大賞展。
2008年「アート・アワード・トー キョー」[やなぎみわ賞](行幸地下ギャラリー、東京)。
主な個展に2008年ギャラリー・ビー・トーキョー(東京)など。





The rifle of the deer」|古川紗帆 Saho Furukawa
2008年|鹿の毛皮、漆、他|撮影:イデアゾーン
 
  □ 古川紗帆|Saho Furukawa
1984 年富山県生まれ。
東北芸術工科大学美術科工芸コース卒業。
同大学院工芸専攻在籍。
主なグループ展に2007年「再生と根幹 〜漆の造形空間〜」(SPACE/ANNEX、東京)/2007年「1984-espresso」(Cafe Espresso、山形)/2008年「Myth in us/私たちの神話」(トータル美術館、韓国)など。