藤本なほ子

   
「のこらないもの」








会期:2011年10月3日[月]−10月8日[土]
会場:表参道画廊
照明協力:中山奈美














自分の言葉ではなく、他人の言葉を使って作品をつくりたいと考えていたとき、
ふと、友人からのメモの文字をなぞって書き写してみた。
「じゃあね。ばいばい。」という言葉だったと思う。
書き写してできた文字には、今書いたという感触が確かにあって、
でも、私の文字だとは言えない。
かといって彼女の文字だとも言えない。
アンビヴァレントな生々しさが残っている。
その文字を見つめていると
「ここには何か、メディアの大切なものがある」と感じて、
しばらく目を離すことができなかった。


他人の筆跡を書き写し、並べていくことを通して、
起源をもたない遺跡のような光景を思い浮かべている。
そこに見えるものは、ただそこにあるだけで、のこらないのである。










「友人からの葉書のトレース」 2009年 18x24cm














藤本なほ子

1973年生まれ

言語・写真・映像などを用いたインスタレーション作品を主に制作。


【個展】

2003「ここではないについて述べる」(東京・Oギャラリー TOP’S)
   「ここではないについて述べる2 読まれない。」(東京・switch point)
    写真とテキストのスライドプロジェクション/パフォーマンス
2004「幾つかの言葉と、不透明な場所。」(東京・switch point)
    文章の書かれたノートとビデオ映像によるインスタレーション
   「弔辞/お別れのことば」(東京・Oギャラリー脇の文庫本ギャラリー)
    自作の2つのテキストによるカセットブック。
    ステレオ音声で、左右の耳に別々のテキストが聞こえる。
2005「報告 reportage」(東京・Oギャラリー TOP’S)
   「報告 reportage 常滑へ」(愛知県常滑市・STUDIO 2001)
    8mmの映像と、それについて解説するビデオ映像などのインスタレーション
2006「資料体 corpus」(東京・contemporary art + cafe 西瓜糖)
    3つのビデオ映像によるインスタレーション
2008「handwriting」(東京・contemporary art + cafe 西瓜糖)
    他人の筆跡を書き写した紙 14点を展示
2009「遺跡 ruins」(東京・MUSEE F)
    他人の筆跡を書き写した紙52点を展示
2010「現在の遺跡 current ruins」(東京・MUSEE F)
    他人の筆跡、および自分の筆跡を書き写した紙56点を展示