藤本 なほ子  
  
    
「 部 屋 」



会期:2012年10月29日[月]- 11月3日[土]
会場:表参道画廊
照明:中山奈美










メディアは、──つまり、人間の伝達のために、言葉や像や、何らかの
指示性を担わされた「モノ」は、それぞれ固有の、独特な時間の広がりを
もっているように感じられます。

「言葉」や「像」は、それ自体は抽象的なものなので、
モノに託され、モノと一体化しない限り、つまり「メディア」という姿を
とらない限り、対象としてとらえることも、保存することも、
他人と共有することもできません。

それで、ひとつひとつのメディア(たとえば紙の上のインクの連続や、
後ろから光に照らされている液晶のかたまり)には、
もともとのモノとしての時間と、言葉や像として、ここにはない何ものかを
指し示す時間と、2つの時間性を見いだすことができます。
その時間性の奇妙な混淆が、私に、何かこの世のものならぬ時間の広がりを
予感させるのかもしれません。

その混淆のゆえか、言葉や像の抽象性が、あたかもモノのように
確かな手応えをもって存在していると感じられることすらあります。

ほんとうは実体をもたないそれは、事物を指し示すというよりむしろ、
なおいっそう、「宛先」のようなもの──それは外部でもあり、
それ自身に含まれるものでもある──への指向性に拠って成立している、
とも感じられるのです。











「部屋」(インスタレーション)  


インスタレーションを構成する作品    
    「窓」 (自宅の窓からの風景/映像)    
    「宛先」(友人からの手紙の筆写/映像)    
    「宛先」(友人からの手紙の模写/平面)






























藤本なほ子

1973年生まれ

言語・写真・映像などを用いたインスタレーション作品を主に制作。




【個展】

2003 「ここではないについて述べる」(東京・Oギャラリー TOP’S)
   「ここではないについて述べる2 読まれない。」(東京・switch point)
    写真とテキストのスライドプロジェクション/パフォーマンス
2004「幾つかの言葉と、不透明な場所。」(東京・switch point)
    文章の書かれたノートとビデオ映像によるインスタレーション
   「弔辞/お別れのことば」(東京・Oギャラリー脇の文庫本ギャラリー)
    自作の2つのテキストによるカセットブック。
    ステレオ音声で、左右の耳に別々のテキストが聞こえる。
2005 「報告 reportage」(東京・Oギャラリー TOP’S)
   「報告 reportage 常滑へ」(愛知県常滑市・STUDIO 2001)
    8mmの映像と、それについて解説するビデオ映像などのインスタレーション
2006「資料体 corpus」(東京・contemporary art + cafe 西瓜糖)
    3つのビデオ映像によるインスタレーション
2008「handwriting」(東京・contemporary art + cafe 西瓜糖)
    他人の筆跡を書き写した紙 14点を展示
2009「遺跡 ruins」(東京・MUSEE F)
    他人の筆跡を書き写した紙52点を展示
2010「現在の遺跡 current ruins」(東京・MUSEE F)
    他人の筆跡、および自分の筆跡を書き写した紙56点を展示
2011「のこらないもの」(東京・表参道画廊)
   他人の筆跡(祖母と孫との往復書簡など)、およびその鏡像を書き写した紙51 点を展示