東京写真月間 2019
 
 「家族系統樹」

  多和田有希 ・ 原田裕規

      キュ レーション:小高美穂
 






会期=2019年6月17日[月] - 6月22日[土]
会場=表参道画廊+MUSEE F
時間=12:00-19:00(最終日17:00まで)
主催=表参道画廊+MUSEE F

   
  





表参道画廊は、6月17日から6月22日まで多和田有希、原田裕規による二人展「家族系統樹」を開催します。

多和田有希はこれまで写真を中心にした作品制作において、人間の精神的治癒をテーマにしてきました。写 真を焼く、切る、表面を削るなどのプロセスを経ることによって、多和田は自身にとって近しい対象や、時 に恐怖や嫌悪感を抱く対象に対して、儀式のように新たなイメージを表出させ、作品として昇華させます。 写真に写し出された対象がとりわけ身近な存在である時、その像に手を加えるということは、どこか罪悪感 が伴います。そのため、多和田にとって選び出された対象は、まるで生贄のようにそのプロセスを受け入れ てくれる存在でもあり、それゆえ作品の中で家族という非常に身近な存在を多く扱ってきました。

原田裕規は、これまで社会の中で広く認知されながらも取るに足らないとされているものを通して議論喚起 する作品を制作してきました。古物商や回収業者から収集した数千枚のアノニマスな写真や家族アルバムに 貼られた写真に対して「心霊写真」というカテゴリーを付与し、時に「写真の山」として提示することで、 写真は時に恐怖や不安感をも作り出し、近代社会の無意識をも露呈させます。また、近作である原爆の図丸 木美術館で展示された《写真の壁》では、収集されたそれらの膨大な数の写真を貼り付けた垂直の巨大な壁 を作り出すことによって、「原爆」というあまりにも大きな歴史的出来事であり、想像を超える事象に対し て接続することの難しさやわからなさに向き合いました。

本展「家族系統樹」は、「家族写真」という単位から写真を考察し、両者の作品に共通する物質性や差異を 通して、写真の呪術性やその寄る辺なさを浮き彫りにします。「家族」は、あるコミュニティーを構成する 社会的単位でありながら、厳密な定義は非常に曖昧です。時代や社会によってその定義は常に揺らぎながら も、血縁という目に見えぬ樹木のように、自己と他者を脈々と繋ぐ存在でもあります。写真の誕生以来、 人々は身近な家族を 写真に留めてきましたが、カメラの普及によってそれらの写真は「家族写真」として広く浸透していきました。 「家族写真」という極めて限定的でありながらも親和性の高いフレーミングが与えられたとき、私たちは写 真の イメージといかに対峙するのでしょうか。それと同時に、イメージを超えて立ち上がるもの、あるいはそこに込められたものに対して「家族写真」はどのように 作用するのか、両者の作品を通して是非ご高覧いただければ幸いです。










■多和田有希(たわだ・ゆうき)

1978年静岡県浜松市出身。写真療法のリサーチをベースに、人間の精神的治癒のシ
ステムをテーマに制作をしている。自らの撮影した写真表面を消す(削る、燃やすな
ど)という行為を通し、都市や群衆の集合的無意識や個の意識変容をイメージとし
て湧出させる。

近年の展覧会に、「5×3」(KunstraumDüsseldorf・デュッセルドルフ、 2015年)、
「カミナリとアート光/電気/神さま」(群馬県立館林美術館、2017年)、
「写真都市展──ウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち」(21_21DESIGN SIGHT、2018 年)、個展「悪魔祓い、系統樹、神経の森」(G/Pgallery、2018年)など。

和光大学非常勤講師を経て、東京藝術大学非常勤講師、京都造形芸術大学専任講師。

https://www.yukitawada.com




《LadyintheCrystal》 2009年











原田裕規(はらだ・ゆうき)

1989年山口県山口市出身。美術家。社会の中で取るに足らないとされている
「にもかかわらず」広く認知されているモチーフを取り上げ、議論喚起型の問題
を提起する作品で知られる。

作品の形態は絵画、写真、展示(インスタレーション/キュレーション)テキストなど。
代表的なプロジェクトに「ラッセン」や「心霊写真」を扱ったものがある。

主な個展に「写真の壁:PhotographyWall」(原爆の図丸木美術館、2019年)、 「心霊写真/ニュージャージー」(Kanzan Gallery、2018年)、編著書に『ラッセンとは何だっ
たのか?』(フィルムアート社、2013年)、企画に「ラッセン展」(CASHI、2012年)な どがある。

2013年に武蔵野美術大学造形学部芸術文化学科を卒業後、2016年に東京藝術大学
大学院美術研究科修士課程先端芸術表現専攻を修了。

http://www.haradayuki.com


  
「心 霊写真/マツド」展(山下ビル、2018 年)での展示風景