東京写真月間2019
   
 
 豊田康太 写真展

   「柵の思考」


 



会期=2019年5月27日[月] - 6月1日[土]
会場=表参道画廊
時間=12:00-19:00(最終日17:00まで)
   


      




 ある種の限定された不自由さの中で、結果的に変形し、そうなってしまった不可解な写真は、予 測可能と思われた、どこにでもあるような既視感のある場所であればなおさら、安心させてくれることも、心地 よい充足感を与えてくれるわけでもなく、常に漠然とした不安や迷い、そして時には苛立ちさえ覚えたりする。
 
しかし、この言語化できない写真の不安や苛立ちこそ、習慣や伝統など様々な影響で、無自覚のうちに固定され ていたものの見方を見直す源泉になる。そこにある普遍的で時代を超えたものは、さらに新しい発見の手助けを してくれるのではないかという期待をもさせてくれる。どうも我々は、身近であたりまえに存在している不確か なものに対して、あまりにも誤った見方をしているのではないかと感じてしまうのだ。
 
自分自身が写真によって意味を付与したり仲介したりするのではなく、むしろ自分や外の世界をも疑い、否定す ることによって現れる存在の不条理な断片を柵の隙間からのぞき、未分化の混沌とした中から、世界の現実のか たちが表層ににじみ出るまで能動的に待ち続ける。その反復によって、もし世界を肯定することができたなら ば、そのときはじめて、世界との真の関係性のようなものが結び直せるような気がする。そこまでたどり着ける のか分からないが、外界とを隔絶する重い柵を開放する努力を続けていきたい。





⬜︎豊田康太
静岡県生まれ。
オクラホマシティ大学大学院教養学部修士課程修了。
写真展に2007年「祭壇に楔を」(コニカミノルタプラザ)など。