開 廊20周年記念企画

故鷹見明彦企画作家シリーズ



 渡辺好明 遺作展

 

 



会期=2019年10月7日[月] - 10月19日[土]・日休
会場=表参道画廊+MUSEE F
時間=12:00-19:00(最終日17:00まで)
企画=半表参道画廊
企画監修=半田滋男
協力=岩間賢、小瀬村真美、渡辺勝明

ギャラリートーク=10月7日(月)16:00 - 18:00

登壇者:坂口寛敏(東京藝術大学名誉教授)

岩間賢(愛知県立藝術大学美術学部准教授)、他
司会:半田滋男(和光大学表現学部教授)
料金:無料

      






 開廊記念展及び故鷹見明彦氏の企画
作家シリーズとして2009年に急逝された東京 芸大教授の渡辺好明
遺作展を開催致します。

「プラトン立体や黄金比、フィボナッチ数列などの生成の法則とロウソク列の燃焼プロセスの相克に、 光として現前し去りゆく時間の相を変奏する渡辺好明」(鷹見明彦企画展《SYNAPHAIー連系》 2003年より抜粋)は、ロウソクを用いた屋内外のインスタレーションで周知されていますが、ドイ ツデュッセルドルフやバウ 
ハウス大学などとの交流展またフランス大使館での企画等多くを
手がけ幅広い活動で現代美術の一 翼を担い、同時に学生たちの
教育にも大きな貢献を残しました。

没後10年を迎え、この度はご遺族の多大なご支援のもと開催の運びとなりました。実作に接
する貴 重な機会になるかと存じます。是非ご高覧頂ければ幸いでございます。



            ※※※※※※



 アーティスト渡辺好明が突如世を去って10年になります。渡辺好明は、東京藝大大学院の壁画研究室を修了した 後、デュッセルドルフ芸術アカデミーに留学、89年に帰国後は東京藝大のスタッフとして先端芸術表現科の開設、 さらに取手アートプロジェクトの運営に携わり、美術界に着実な影響を及ぼしたアーティストです。
 アーティストとしての渡辺好明の営為は、決して時流の前線に立とうとするものではありませんでした。壁画研究 を出自とする彼は、初期より地に足のついた制作態度を選びとり、90年代には主に「光ではかられた時」のキー ワードの下、光、水、そして燃焼による現象を援用した屋内外でのインスタレーションを繰り広げてました。
 現時点から渡辺好明の活躍した同時代(90年代)の美術シーンを振り返ると、93年にバブル景気と呼称された 景気循環が沈静化したといえ、80年代までの無窮とも思われた経済成長を背景とする諸傾向、即ちポスト・モダン の余勢を色濃く反映するネオ・ポップ、個人的な日常風景を切り取る一群のアーティストたち、概して刹那的、後の 評論家によって無時間モデルと形容される思潮と比類される動向が想起され、 その傾向の一端は現在まで受け継が れているようにも思えます。
 その時代に、大きな注目を集めることもなく渡辺好明が呈示しようとし続けてきたのは、宇宙の公理―フィボナッ チ数列、プラトン立体―を援用するロウの燃焼、水の蒸散による一連の作品ですが、実はそれらの作品自体はいわば 触媒であって、実体は限りなく純粋なかたちで受容者に提供される、時間それ自体であったと考えることが出来ま す。
 私たち鑑賞者は、雑然さを増す一方の現代に、得ることが希有な省察の刻を与えられていたのだと言うことに気付 かされるのです。
 作者の突然の逝去後、10年が過ぎました。渡辺好明は批評家、そして企画者でもあった鷹見明彦氏が評価し続け た数少ないアーティストの一人でもありますが、その鷹見氏も渡辺好明の死後2年後には世を去りました。
 この展覧会は、故鷹見明彦氏の企画作家シリーズとして、「形跡」のかたちでのみ残されている作品を通じ作家の 意思を再確認し、私たちが時代から何を残しうるのかを内省することにも通じる回顧展です。
  
        半田滋男 (和光大学教授・元千葉市美術館学芸員)












□渡辺好明 

1955  兵庫県神戸市に生まれる
1980  東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業
卒業制作「自現」にて「大橋賞」受賞 
1982  同大学大学院美術研究科壁画研究室修士課程修了
1982 - 1985 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻非常勤助手
1985 - 1989 ドイツ学術交流会(DAAD)奨学生としてデュッセルドルフ美術アカデミーに留学C.Megert教授「造形美術と建築の結合」クラスに在籍
1988「Wasyl Seniw Stiftung」受賞
1989  Meisterschuler取得、帰国
1989 - 1992 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻常勤助手
1992 - 1999 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻専任講師
日本航空協会「空の日芸術賞」受賞。アムステルダム国立美術アカデミーにゲストアーテイストとして滞 在・制作
1999 - 2006 東京藝術大学美術学部先端芸術表現科助教授
2006 - 2009 東京藝術大学美術学部先端芸術表現科教授
2009  逝去







「光ではかられた時 - オーナメント -」
「ジ・エッセンシャル」千葉市美術館/2002年3月/
  ガラス、蝋燭


                                              @半田滋男




                        @ 内田芳孝

「光ではかられた時ー」1998 ガラ ス、蝋燭 
齋藤記念川口現代美術館  1999
            





               @ 内田芳孝
「光ではかられた時ートーラス」1998 ガラ ス、蝋燭 2035x400mm 2点
齋藤記念川口現代美術館  1999